
はじめに
現代人が下向きの生活になった原因の一つが、スマホやパソコンなどの使いすぎです。そういった下向きの姿勢に伴った首の変形を「スマホ首」や「首ネコ背」「ストレートネック」など、たくさんの呼び方で呼ばれています。
ストレートネックの治し方は、ストレッチや体操など様々な方法が紹介されておりますが、ここでは「枕」を使ってストレートネックを改善する方法を詳しく解説。専門家による枕の選び方や注意点、自分で簡単にできる枕の作り方やおすすめの枕をご紹介いたします。
ぜひお試しいただき、心身の健康と若々しさを取り戻しましょう。
ストレートネックとは?その症状について

近年、パソコンやスマートフォンが普及して便利になる一方で、姿勢が悪い人が増えています。
スマートフォンを使うとき、私たちは、画面を見るために頭を前方に傾けます。
頸椎(首の骨)は、本来であればほどよくカーブしています。
骨がカーブすることで、頭の重みがじかに頸椎にかかるのを防いでいるのです。
しかし、頭が前方に傾いているとき、頸椎はまっすぐに伸びてしまっています。
カーブが消失した首にとって、頭の重みは大きな負担です。
ストレートネックのチェック方法
ストレートネックになっているかどうかは、専門機関で診察する方法もありますが、自分で簡単にチェックする方法があります。
(1):壁に背中をつけてみる

まず、壁を背にして「気をつけ」の姿勢を取ります。そのとき、後頭部、肩甲骨、お尻、かかとの4ヵ所が特に意識しなくても自然と壁につけば、頸椎は正常な状態です。
もし、後頭部が壁につかなかったり、意識的に首を後ろに倒さないとつかない場合は、ストレートネックの可能性が非常に高いといえます。
【軽度】後頭部が壁につかないが、意識すると簡単につく
【中度】後頭部が壁につかないが、がんばればなんとかつく
【重度】後頭部がまったく壁につかない
(2):首の後ろの第7頸椎を触る
首の後ろの第7頸椎(左右の肩の高さの中央付近にある背骨の一つ)がボコッと大きく飛び出ています。ほかの人と見比べて骨が飛び出ていたり、触ってみて高さが2cm以上あれば、ストレートネックの可能性が高いです。
また、ストレートネックになっている人は、鼻づまりやのどのイガイガを訴えることが多いです。これらの症状が思い当たる人は、ストレートネックの可能性が高いと思います。
「枕なし」は大丈夫?枕の選び方を専門家が解説!
専門家紹介:竹谷内 康修(たけやち やすのぶ)先生

竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長・整形外科医・カイロプラクター
東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、福島県立医科大学整形外科へ入局。3年間整形外科診療を行う。その後、米国ナショナル健康科学大学へ留学し、カイロプラクティックを学ぶ。同大学を首席で卒業後、都内にカイロプラクティックを主体とした手技療法専門のクリニックを開設。腰痛、腰部脊柱管狭窄症、肩こり、頭痛、首の痛み、関節痛などの治療に取り組む。
枕選びの注意点

首の痛みを改善・解消するには、起きているときの首への負担を軽減することや、傷んだ首の状態を改善するカイロプラクティックなどの施術がより重要で、寝ているときに枕によって改善するのは、現実的にはむずかしいのです。
ただし、枕選びの注意点はいくつかあります。頸椎症、とくに、神経が圧迫されて腕のしびれや痛みを起こしている頸椎症性神経根症や、頸椎椎間板ヘルニアの神経根症タイプの人が枕を選ぶときのポイントは、「首を後ろに反らす枕をさける」ということです。
最近は、首に当たる部分が隆起し、後頭部が下がる形の枕がふえています。これは、健康な人ならよいのですが、頸椎症の人、なかでも頸椎症性神経根症などの人が使うと、神経の圧迫を強くして症状を悪化させるおそれがあります。首だけに当てる、いわゆる「首枕」の場合も同様です。
逆に、頸椎症性神経根症などでは、枕を高くして、後頭部を高く持ち上げると、腕の痛みやしびれが軽減して、らくに寝られます。首を曲げたほうが、神経の圧迫がやわらぐからです。
また、「枕なし」や「低すぎる枕」にも注意が必要です。枕が低いと、首は反りぎみになるからです。ときどき枕を使わず薄いタオルを敷いて寝ている人がいますが、ネコ背があると、首を極度に反らしてしまうので、きちんと枕を使ったほうがよいでしょう。さらに、横向きに寝たときに枕が低すぎると、横向きに首が下がるので、頸椎症性神経根症などの悪化を招く場合があります。
どんな枕がいい?おすすめの枕
では、どんな枕がよいかというと、頸椎症の人には、起きているときの首の形や頭の位置が、ある程度維持できるような枕が向いています。頸椎症の人は、頭が前に出て、ネコ背やストレートネックになっている場合が多いので、その姿勢を保つには、比較的高めの枕が向くことになります。
ネコ背やストレートネックなどは、確かによくない姿勢なのですが、すでにそれらの姿勢で、ある程度固まっている体に対し、寝ている間に矯正するかのような枕を使うと、首に負担がかかります。すでに頸椎症の症状がある場合は、起きているときの首の形を無理に変えない高めの枕で、安定感があり、痛みや違和感を起こさない枕を選びましょう。
寝ている間は、できるだけ首に負担をかけないで、起きているときに心がけて矯正していくのが正しい対処法です。頸椎症が改善されていき、首の当たる部分が高くなった枕や低めの枕でも心地よく使えるようになれば、それらを用いても、もちろんかまいません。
肩こりも解消!ストレートネックを改善する枕の作り方
(1):タオル枕の作り方
背骨のS字カーブを取り戻し、腰椎の負荷を軽減させるための、簡単かつ有効な方法としてお勧めするのが、「タオル枕」です。
毎日の睡眠時間を利用して正しい姿勢にしてくれます。
バスタオル1枚とヘアゴム2つあれば簡単に作れて、その日の夜から実践できます。ぜひお試しください。
用意するもの
・バスタオル1枚(120cm×60cm程度のもの。薄いバスタオルであれば2枚用意する。)
・ヘアゴム2つ(100円ショップで売っているものでもよい。)
作り方

①バスタオルを半分に折りたたむ。薄いバスタオルの場合は2枚を重ねて半分に折りたたむ

②折り目の方からくるくると丸め、バスタオルを棒状にする

③バスタオルの両端をヘアゴムで留める

④以上で完成です
タオル枕のチェックポイント
枕を首に当てた状態で以下の4つのポイントをチェックしてください。
首置き枕に首を当てて、あごが上がりすぎる場合は厚めのバスタオル、下がりすぎる場合は、薄めのバスタオルで首置き枕を作り直して、高さを調節する。
呼吸が苦しい場合は、あごが下がっていて、気道をふさいでいる可能性がある。首置き枕に後頭部が当たっていたら、首の曲線部分だけに当たるよう調整する。
肩、肩甲骨が浮き上がっている場合は、首置き枕が肩の下に当たってる可能性がある。首だけに当たるように位置を調整する。
首置き枕を首に当てると、後頭部が浮いてしまう人は、四つ折りにしたバスタオルを後頭部の下に敷く。
あおむけのまま寝る
手は横に置いてリラックスしながらあおむけで寝る。
手作りの首置き枕を使う
骨格のゆがみは日々の積み重ねで起こるものなので、毎日、首置き枕を使用して睡眠をとり、体をリセットしよう。
敷布団は硬めがおすすめ
寝返りが打ちやすく、背骨に正しい姿勢を覚えこませることができるため、敷布団は硬めで薄いものがお勧め。
(2):首腰枕の作り方
首と腰に枕をするだけで、あごが前に落ちた首ネコ背が改善するだけでなく、ゆがんだ体がリセットされて肩こりや首こりなど、全身のこりや痛みが改善し、現代人が抱える不調が次々消えていきます。バスタオルと輪ゴムだけで簡単に作れて、その日から実践することができます。
用意するもの

・バスタオル2枚
・輪ゴム6本
作り方

①バスタオル1枚を2つ折りにする。
②1のバスタオルを端からできるだけきつく巻く。
③巻き終わった両端と中央の3ヵ所を輪ゴムで留めて完成。
④1~3の手順で、もう1つ枕をつくる
首腰枕のやり方

あおむけに寝て、首の下に枕を1つ、肩に触れるくらいの位置に入れる。
もう1つを、ウエストのくぼみにはめ込むようにして当てる。腕はらくにして体の両わきに置き、手のひらを上にする。
首腰枕が体にフィットするように、体をゆすって調整する。このとき、2つの枕が斜めにずれないように注意、必ず体に対して平行に当てること。
枕が体にフィットしたら、そのままの状態で5分間リラックスして姿勢をキープ。
【注意】
※枕を当てたままで就寝しないこと。
※痛みやつらさを感じる場合は1分程度から始め、徐々に時間を増やす。
※首腰枕で寝ている5分間は姿勢を動かさない。スマートフォンや読書は行わない。
編集部が厳選したおすすめの枕

ストレートネックに悩む人が多い中、様々なメーカーや小売店からストレートネックの方におすすめの枕が販売されております。「テンピュール」「西川」などの寝具メーカーや、「ニトリ」「無印良品」「イオン」などの総合店で販売されている枕も人気が高く、店頭や通販で購入しやすくなっております。
本記事内で紹介した「枕の選び方」を元に、当サイト編集部が厳選したおすすめの枕をご紹介いたします。
テンピュール
NASA(アメリカ航空宇宙局)の公式認定を受けた唯一のマットレス・枕の世界的ブランドです。皆さんもよくご存じかと思います。保証期間が長いので耐久性は信頼できます。仰向けや横向けで寝ているときに快適性とサポート性が十分保持されるのが特徴です。
おすすめは一番人気「オリジナルネックピロー」と「ミレニアムネックピロー」です。「ミレニアムネックピロー」は「オリジナルネックピロー」よりもさらにフィット感にこだわった枕で、いびきをかく方にもおすすめの枕です。
オリジナルネックピロー
ミレニアムネックピロー
東京西川
1556年創業の日本の老舗ブランド。こちらも知らない人はいないと思います。多数の枕を展開する中で「医師がすすめる健康枕」は健康のプロたちが認めたおすすめの枕です。独自開発でたどりついた「圧力バランス」が頭や首の位置を安定サポートし、快適な眠りを生み出します。詰めものを抜き差しすることで高さを微調整することが可能です。
医師がすすめる健康枕 もっと首楽寝
ニトリ
こちらも説明不要な家具・インテリア小売業の大手が開発・販売。「首をしっかり支える枕」は首を自然な状態でしっかりと支える構造が特徴です。首もとのパイプは高さ調整が可能なので、自分にあった仕様に変更することが可能。お手頃価格で手洗いもOK。一度効果を試したい方におすすめです。
首をしっかり支える枕
おわりに
今回ご紹介しました「枕」でストレートネックを改善する方法は、特別な技術は必要なく、ご家庭にあるもので簡単、気軽に実践できるものです。枕の選び方や注意点を元に、ご自身にあった枕を購入されることもおすすめいたします。
首のカーブが失われる「ストレートネック」が原因で、腰痛、肩こり、首こり、めまい、耳鳴り、吐き気など様々な症状を引き起こす可能性があります。ストレートネックを改善することでこれらの症状の改善も期待ができますので、毎日少しずつでかまいませんので、正しいセルフケアを続けていただきたいと思います。